お知らせ

2019年のスーパーボウルCMに見る コミュニケーションの傾向

2019/2/19 お知らせ, ブログ コミュニケーション戦略, 企業倫理 Tammy Kusama

毎年1億人以上の視聴で熱狂的に盛り上がるアメリカンフットボールのスーパーボウル。第53回目が2月3日に米国・アトランタで開催され、歴史上初めての男性チアリーダーが踊ったニュースが実際のゲームの内容よりも多くメディアに紹介されていますが、毎年話題になる巨額の企業CMに今年のコミュニケーション傾向を見ていきたいと思います。

1本30秒のTV広告が、$500万(約5億円)という巨額が投じられ、企業はSNSなども活用しながらより最大の注目を得られるように画策しています。第一回目が開催された1967年には1本$42,000(約420万円)※だった当初と比較するととんでもない上げ幅です。他競技と比較してみても、2018年のNBAファイナルズは$751,000(約7,500万円)、2016年のワールドシリーズゲームの平均$674,000(約6,700万円)という金額からもみて分かる通り、スーパーボウルのTV広告は桁違いで別格です。

ペプシ、バドワイザー、ヒュンダイ、メルセデス・ベンツ、アマゾン、ドリトス、トヨタなど、皆さまにも馴染み深い多くのブランドが広告を展開していましたが、その中でも際立った強いメッセージで注目を浴びたのは韓国の自動車メーカー、KIAのメッセージでした。

2009年よりスーパーボウルで広告を流している同社は昨年も世界的なバンド・エアロスミスのボーカル・スティーブン・タイラーを起用した豪華なCMが話題になっていましたが、今年は打って変わって、豪華なCMを制作するその巨額の費用を経済的な理由で教育の機会に恵まれない子ども達へ投じるキャンペーンを展開し、話題になっています。

KIA MOTORS TEASES SUPER BOWL CAMPAIGN WITH LAUNCH OF “THE GREAT UNKNOWNS SCHOLARSHIP” AND AIRS :30 COMMERCIAL DURING NFC CHAMPIONSHIP GAME“(KIA公式ニュースリリース)

このキャンペーン広告の内容は、今年のスーパーボウルが行われたアトランタのジョージア州にある小さな町、ウェストポイントを舞台とし、そこでデザインされ、作られているKIAの自動車をアピールし、存在感を示しました。このアプローチは、単に車を製造しているメーカーからのメッセージではなく、自分達が誰であり、何をしてきたのか、提供しているものは何なのか、そして車を作っている人達を見せることによって、顧客との対話を保とうとしています。

金額だけが釣り上がってお祭り騒ぎになっている傾向を止めるのに、この新しい手法は、来年のスーパーボウル広告へのアンチテーゼとなるでしょうか?

Source: Kia’s Super Bowl Ad For New Telluride SUV Takes Serious Approach To Important Launch https://www.forbes.com/sites/dalebuss/2019/02/03/kias-super-bowl-ad-for-new-telluride-suv-takes-serious-approach-to-important-launch/#26337139289d

※Source: Super Bowl 53 commercials: How much do ads cost in 2019? http://www.sportingnews.com/us/nfl/news/super-bowl-53-commercials-how-much-do-ads-cost-in-2019/l9ghpuv7kwwq1uhwy9xd35rhm

関連記事