お知らせ
昨日は動画制作におけるBGMの重要性において、音楽が映像に与える影響についてお話しました。
今回は音楽が持つバックグラウンドと音楽の選び方についてお話したいと思います。
先日挙げた4曲について、何の説明も加えずに純粋に音だけ聞いてイメージしていただく形にしました。
もしかすると、その曲を知っている方は本文に書いたイメージとは異なるイメージを抱いていたかもしれません。また、自分が聞いたことのある演奏とは異なるイメージだったりしたかもしれません。
簡単に各曲について説明します。
BGM1.
ベートーベンの交響曲第6番「田園」です。リンク先はカラヤン指揮のベルリンフィルハーモニー管弦楽団の演奏によるものです。クラシックの曲は指揮者やオーケストラなどの演奏者によって曲の表情がかなり変わるため、BGMとして使う場合は誰の演奏かという点も非常に大きな考慮要素になります。
BGM2.
ハリーポッターのサウンドトラックではありません。サン=サーンス作曲による組曲「動物の謝肉祭」第7曲「水族館」です。ちなみに同じ組曲の第13曲「白鳥」は小学校の音楽の授業で聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。いわゆる“クラシック”といわれる分野においても、時代によって曲調はかなり異なり、この曲もわりと新しく感じるのではないでしょうか。ちなみにこの曲が書かれたのは1886年で、①は1808年です。80年の間に音楽が著しく発展している様子がわかります。
BGM3.
ホーギー・カーマイケル作曲による「Stardust」で、フランス人ジャズバイオリニストのステファン・グラッペリによる演奏です。この曲はいわゆるスタンダードナンバーとして、多くのジャズミュージシャンにカバーされています。ジャズの場合は曲よりも演奏の方が重視される傾向にあります。それはジャズの一番の聴き所がアドリブ演奏にあるからです。クラシックは作曲家の歴史、ジャズは演奏家の歴史とも言えます。このため、クラシック以上に誰の演奏によるものか、が重要な考慮要素になります。
BGM4.
ブノワ・シャレ作曲、マチュー・シュディによる「Les triplettes de Belleville」(ベルヴィルの三つ巴、とでも訳せるでしょうか。)という曲です。2003年(日本では2004年)公開の「ベルヴィル・ランデブー」というアニメ映画の主題歌で、2004年のアカデミー賞歌曲賞にもノミネートされたものです。映画の舞台が第二次世界大戦後という設定だったため、1930年代のジャンゴスタイルという曲調にしたものと思われます。ご覧いただければお分かりになると思いますが、この映画自体がかなり特徴的であるため、映画を見たことある方はそのストーリーと結び付けて、写真をご覧になったことと思います。
以上、各曲のバックグラウンドを知った上で、もう一度写真と音楽を合わせてみると、以前とはまた違った趣が感じられるのではないでしょうか。
なお、その曲のバックグラウンドを知らなかったとしても、繰り返し耳に入ることで特定のイメージを持ってしまうことがあります。その顕著な例は、CMで繰り返し流された場合です。
例えば、この曲を聞くとビールが飲みたくなるでしょうし、
この曲を聞くと、現在30代後半以降の方であればカニ(ロブスター)が食べたくなるのではないでしょうか。
また、この曲は現在、コンビニエンスストアのCMに使われていますが、以前はカップラーメンのCMにも使われており、世代によっては想起するイメージが混在してしまいます。いずれの曲も原曲にはまったくそのようなイメージはないのに、CMによって別のイメージを刷り込まれた例と言えます。
動画に付ける音楽を選ぶ際は、原曲や演奏者について確認しておくとともに、このようなイメージが定着していないかも確認できるとよいと思います。後者については幅広い世代に確認したり、グローバルに展開する動画であれば各国において何らかの特定のイメージがないかを確認しておいたほうが無難です。
そうは言っても全てを確認することはできないので、この作業が煩わしい場合はオリジナル曲を付けることを考える方が早いかもしれません。(既存の曲を使用する場合は権利処理の問題もありますし。)
音楽についても、代理店や制作会社任せにするのではなく、映像と伝えたいメッセージのイメージに合った音楽をきちんと選んだり、指示できるとなお一層伝えたいことが伝わりやすくなるのです。
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