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利益重視からブランド価値の対話へ〜日本企業のコミュニケーションが世界から取り残されている理由〜
2016/10/31 ブログ 企業レピュテーション, 企業広報
English below ↓
コミュニケーションの内容や手法は、世界中で常に進化しています。コンテンツマーケティング、CSRレポート、VR技術を用いたストーリーテリング・・・。企業は、イメージ形成とともにブランド力を高めようとしています。
しかし、このような手法を追いかけるだけでは問題があります。日本ではグローバルで培われてきたコミュニケーションの基本が正しく理解されていないためです。なぜそのようなことが起きるのでしょうか。
1980年代後半、資産価格の急激な高騰と、それにともなって起こった好景気中は「良いものを作れば売れる」という考え方が当たり前でした。株主のために最大限の利益を生む、という株主価値の最大化を戦略とする考えもこの時期にブームを迎えていました。(しかし、2009年にはゼネラル・エレクトリック社の最高経営責任者であったジャック・ウェルチが「『株主価値の最大化』は戦略ではなく、あくまで結果だ」という言葉を残しているように、この考え方は現在否定されています。)
1992年のバブル経済崩壊後、10年間にわたり、日本経済は停滞していました。(いわゆる『失われた10年』と呼ばれていますが、経済の低迷は20年続いていたという見方もあります。)しかし、この間、日本以外の国の企業は自分たちの言いたいことを言うだけの一方通行のビジネスアプローチでは通用しない、という変化に気付き始めていました。つまり、消費者は自分の興味に関心を払ってくれる企業を選ぶようになっていたのです。
世界中の消費者がこのような変化を求めていたのに対し、日本では従前通りいかに利益を上げるか、という方法ばかりを追い求めてしまったために、コミュニケーションに対する態度はほとんど進化しませんでした。これは現在そして過去の「良いものを作れば売れる」という信念に過度に執着してしまったために起きてしまったのです。
「良いものを生産すれば企業の信頼性も自然と高まる。そのため企業は良いものを作り続ければよい。」それまでは商品の良さが利益につながっていましたが、グローバルではすでに変化していました。信頼は企業が持つ本当の価値をコミュニケーションすることを通じて勝ち取られなければならなくなっていたのです。この考え方はブランディングにおいても重要性を増していたため、企業はストーリーを語り、消費者とつながり始めました。派手な広告を出す代わりに、企業は消費者と共有できる価値に基づいたアイデンティティを確立したのです。アップルのスローガン「Think Different」とそれをテーマにしたテレビ広告はあまりにも有名な例です。
「コミュニケーションとは、企業の行動とメッセージが伴ったものである」
この消費者とのつながりは、インターネットの普及により、より容易に構築できるようになりました。今や企業は様々な地域にいるどの消費者とも対話ができるようになったのです。そしてまさにこの「対話」がそれまでとは異なる点でした。もはや一方的に話しかけるのではなく、対話が必要となったのです。企業と消費者との双方向コミュニケーションが生まれた瞬間です。
グローバル企業がインターネット技術の可能性を見出し、お客様とのつながりを強めて結果を残す中、日本では前述の信念に基づいて売り上げを回復することがまだなお目的となっていました。結局、世界が進む方向に日本は進んでいなかったのです。これこそが世界と日本との間にコミュニケーションに関する理解が異なってしまった理由であり、コミュニケーションが日本では重視されてこなかった理由です。しかし、これはビジネスにおいては非常に危険なことです。資生堂グループCEOの魚谷雅彦氏は、「ブランド価値と企業パフォーマンスを結び付けて評価しているインターブランド社によるグローバルブランドランキングに、日本企業は一握りしか含まれていないことは残念である」と述べています。
企業が世界に飛び出し、グローバル企業として幅広く活躍するためには、ブランドアイデンティティとブランド価値をコミュニケーションしていくことが不可欠です。そしてそのコミュニケーションでは、企業の行動とメッセージが結び付けられていることが必要です。さらに、それを消費者が耳を傾けるであろう方法で、そのブランドの持つ価値が共有されなければなりません。正しくコミュニケーションをすることで、企業は世界的な認知と信頼を醸成することができるようになるのです。
世界で起こったマーケティング、コミュニケーション改革がいまだ起こっていないので、日本企業はいまだ世界市場においてのブレークスルーができていません。しかしながら、トヨタのように世界をリードする日本企業は確かに実在します。多くの日本企業がトヨタを尊敬しているにも関わらず、彼らのようなコミュニケーションを取ろうとはしていません。トヨタは良い商品を作ることはもちろん、彼らの信念や目的をお客様と分かち合うことの重要性に早くから気付き、コミュニケーションをしていました。多くの日本企業がいまだに利益を追求し、日本発祥であることを訴求していますが、トヨタはそうではなく、自分たちの価値を語ることを追求し、現在の成功をつくり上げたのです。
日本企業も自分たちの価値が世界においてどのような可能性を持っているのか、認識し始めています。
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From Shareholder Value to Brand Value, Why Communications is Trailing in Japan
Advancements in communications are evolving constantly. Content Marketing. Corporate Social Responsibility reporting. Virtual Reality storytelling. Businesses are growing their brands alongside their growing reputations. But there is an issue with these trends. They are not being utilized correctly in Japan because the fundamentals of communication were not established the same here as they were globally. And I have a theory as to why.
When the Japanese economy was growing strongly in the late 80s, companies had clear goals: make good products and cash in. This was also during the boom of maximizing shareholder value. Creating the greatest profits for investors (though in 2009, Jack Welch emphasized it is not a strategy, rather a result). After the bubble popped in 1992 the economy stagnated in Japan. The next ten years became known as the Lost Decade ? though some even claim this recovery lasted 20 years. During this time, however, the rest of the world started noticing a change in their one way business approach. That is, consumers started choosing to support companies that cared about their interests.
While global consumers were becoming independent, Japan’s market was trying to understand how to get back on the money train. Therefore, little progress was made in the way of marketing in Japan. There was no shift of focus because everyone was concerned about the present ? and the past ? too much.
“Making products has always increased trust in our brand,” they thought, “so we just need to make better products still.” This trust used to translate into profits, but globally things had changed. Trust needed to be earned through communicating real value. There was a growing importance in branding in the rest of the world. Brands began telling their story and connecting with consumers. Instead of flashy advertisements, companies created identities based on shared value with their customers. No clearer case exists than with Apple’s bold campaigns telling people to “Think Different.” Even now as a top trusted and profitable company, Apple still pushes their brand and connects with its users.
“Communication is the combination of a company’s actions & message”
This connection became even easier with the widespread adoption of the internet. Brands could talk with anyone, anywhere. But that was the key difference. Because of the diffuse nature of the internet, companies no longer talked to consumers, rather with. Conversations were born. 2-way communication thrived.
While the rest of the world was realizing technology’s capacity to connect people and champion personal expression, regaining that lost profit was still a fundamental goal in Japan. So as things reached normalcy, the goals never progressed. Here, communication is not understood the same way, therefore it is not important. But that is extremely dangerous to believe for business. Even Shiseido CEO Masahiko Uotani believes it is “regrettable that only a handful of Japanese brands feature in Interbrand’s Best Global Brands ranking, which ties brand value to business performance [emphasis added].”
Communicating brand identity and value is vital for global success. Communication is the combination of a company’s actions and their message. It is sharing the brand’s value in a way that an audience will listen. By communicating correctly, companies grow global recognition and global trust.
Because the communication transition never occurred, not many Japanese companies have broken through globally. One successful case, however, is Toyota, a global leader for reputation and communication. Many Japanese companies respect them but few try to communicate like them. Of course they make great products, but they also communicate their value to a receptive audience. While many companies are still focusing on profit or their Japanese roots, Toyota focused on telling their value, and it has made them the success that they are today. We can only hope that companies begin to realize their value’s global potential.
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