お知らせ

年末は次年度計画の時期
「師走に入り、早いもので今年も残り一ヶ月をきりました」
こんな文章の書き出しは、自身の歳を感じさせる年中行事と化してきた。
3月末決算の企業で計画立案を担当する方にとっては、年末の締めや挨拶などに加えて、次年度の予算折衝が重なり、忙しさが増す時期ではないだろうか。

ほとんどの組織には年度の目標があり、その実現に向けた行動計画がある。
次年度予算を確保し、人事計画を立てると、大まかに“目標”を達成するための“ヒト・モノ・カネ”が整う。
そんな次年度の準備期間の今回は、企業広報における計画の重要性について考えていきたい。

計画通りに進まないのが広報の常だった

マスメディアだけを主たる露出の場とする広報活動では、メディア露出のチャンスは社会の動きや論調に影響を受けることが多い。
「計画は立てても実際には突発的な外的要因の対応が多く、計画の遂行に課題がある」という現場の声もよく耳にする。
その声にはどれも、予定通りに物事が進まない悔しさが見え隠れしている。

しかし、企業ウェブサイトやソーシャルメディアなどの自社による発信の場は、計画したコミュニケーション活動を実行しやすくしたといえる。もちろん自社の発信の場はマスメディアの発信力には及ばないことがほとんどだが、それでも露出のタイミングをコントロールできるようになったことは大きい。社会が情報に出会う接点を「種」とするなら、ゼロである状態よりは「芽」が出る可能性がある。

だから「しっかり計画を立てましょう、突発対応しながら計画通りに物事を進めましょう」と提案することにしている。

「計画を立てましょう」とおすすめするワケ
ソーシャルメディアの特性を鑑みると、社会との共感やエンゲージメントに感度を高めることは重要なことである一方で、思いつきや、落とし所の見えない事象を発信することは避けたいところだ。仮にその発信が社会から瞬間風速的に注目を浴びたとしても、「幹」がないものを継続することは難しい。また、受け取る社会は“人”の集合であるから、良いものを享受したら “次”を期待する一面がある。逆に言えば、次がないと次第に人は離れていってしまう。

再び注目を与えるような“次”が用意されていないのであれば、単発で発信した後の落としどころや、その後の活動につながるための計画を事前に練っておくことが必要だ。

コミュニケーションには受け手となる他者が常に存在している。
他者の反応は予測できないものの、計画があればその反応が想定内か否かを判断することができる。組織においてこのような経験を蓄積し、次の計画に反映することが期待される。

つまり、発信の計画は、社会の反応を組織にどう取り込んでいくかという傾聴の計画でもある。

改めて考える組織における広報のあり方
広報は決して発信専門の部門ではなく、「Public Relations」の単語が示すとおり、社会との双方向のコミュニケーション窓口で、“広報”と“広聴”が必要だといわれている。
広報活動を含む数多の企業活動を樹木の「枝葉」とするならば、その根幹になるものを突き詰めると、企業の「幹」=「社会的意義や価値、責任、社是や理念」と定義づけられる。この「幹」がないとすべての企業活動の意義は見出されない。

「幹」を諸活動の根幹とする考え方は広報活動にも同じことがいえる。

「幹」を持ちながらも、発信で得られた社会の声を組織に取り入れ、社会に根を下ろした組織という樹を育てるために企業広報は益々活躍してほしいと願う。

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