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ブランディングの新時代が求めるコミュニケーションの重要性

2019/1/23 ブログ Kusumegi

2018年も過ぎていき、2019年も1月がもうすぐ過ぎていく。私は時間が過ぎていくのがどんどん早くなっている気がどうしてもしてぬぐい切れないが、加速するデジタル環境やそれに伴うライフスタイルの変化を楽しんでいるのも事実だ。
マーケティングとコミュニケーションを担当する私にとってトレンドに追いつくのは大変だ。ただ、大変なだけではなく、とても面白く、過去のどの時代よりツールが多く、様々なライフスタイルが混合する時代でもあると感じている。
では、2019年という“時代”がブランディングにどのような変化を意味するのか。または、企業が注力すべき「コミュニケーション」とは何なのか。その質問に対して少し話ができればと思う。

企業や商品のブランディング、又はマーケティングには消費者の心理と行動パターンの分析が大事で、冒頭にお話したライフスタイルの変化は消費行動を大きく影響する。例えば、E -コマースの利用などが分かりやすいだろう。今の消費ルートは大きく二つあり、ネット消費者と店舗消費者の2種類に分けることができる。また、ネット消費者もアマゾンユーザーやメルカリユーザー、出前館ユーザーなど様々な売り場を利用し、サービスも日々増えている。決済方法でさえも現金からカード、今ではデジタル決済も盛んになっている。買い物をする方法が多様化し、情報を入手する方法も多様化した分、企業が消費者とコミュニケーションする手段も多様化しなければならない。

年明けに、Harvard Business Reviewが出版した『HBR’s ten must reads on strategic marketing』の中で紹介されているデイビッド・エデルマン氏の”Branding in the Digital Age”を読み、デジタル化がもたらした新しい消費者行動モデルを知り、デジタル時代である現在に沿っていると思う。
マーケティングに携わっている方であれば、パーチェスファネルについて一度は聞いたことがあるだろう。パーチェスファネル(英: purchase funnel)とは、マーケティングの考え方の一種で、 St Elmo Lewis 氏のAIDAモデル(AIDMAモデル)の発展形であり、消費者の購入までの意識の遷移を図化したものである。 パーチェスの意味は「購入」で、ファネルは「漏斗(じょうご)」を意味する。(1)


Source: “BIDDING ON THE BUYING FUNNEL FOR SPONSORED SEARCH AND KEYWORD ADVERTISING” Journal of Electronic Commerce Research, VOL 12, NO 1, 2011, http://web.csulb.edu/journals/jecr/issues/20111/Paper1.pdf

だが、上記あるパーチェスファネルは現代の消費行動を表しているかと言うとそうでもない。従来の考え方では、消費者はまず数多のブランドを検討し、自ら比較選択し絞り込んだ後、購入するといったプロセスだったが、現代の消費者はすでに消費検討のスタートラインからブランドは自ら絞り込んでいるのが現実だ。

その前提として、消費者が接触するメディアはどんどんソーシャルや他者の口コミに向いている為、ブランド自身がコントロールするメディアとの接触が減っている。以前は広告やブランドサイトなどに訪問し、情報収集していた消費者が多かったものの、今は他者の口コミやレビュー動画を通して情報収集している。
また、一度購入して良かったブランドは再購入される可能性が高い。アップルのiPhoneなどは良い例だろう。iPhoneを購入した方の9割は再度iPhoneを購入するという。(2)また、好む商品に関しては、他者にお勧めする可能性も高い。

メディア接触の変化と購入後のブランドロイヤリティをまとめた、エデルマン氏のConsumer Decision Journeyモデルが下記のものとなる。

上記のモデルでは、Consider(検討)から始まり自分の好きなブランドや知っているブランドから検討フェーズをスタートし、Evaluate(評価)ステージでは口コミや他購入者の意見などを参照し、再度検討を進めBuy(購入)に至る。ただ、購入後の体験が良ければロイヤリティループに入り、自分の体験を他社に共有したり、ブランドのファンとして直接コミュニティ入ったりし、再度ニーズが発生する際は他のブランドを検討せず再購入に至る。

ブランドに重要なのはどうやってこのロイヤリティループを形成するかがポイントだ。その方法としてはコミュニティサイトの構築やオウンドメディア、会員プロモーション制度等方法は様々だが、その中に必要なのは、購入者とのリレーション作りだ。従来のマーケティングでは新規消費者へのアプローチに注力する傾向にあるが、既存消費者へのケアと関係づくりも大きく売り上げに貢献する。ブランドロイヤリティの醸成を目的としたファンとのコミュニケーションは手間がかかるか費用は広告などの従来の施策と比べると低く、費用対効果も比較的に良い。

競争が激しくなってきている現代市場において購入者を大事にするブランドは重宝されるのではないか。その想いと品質が消費者を呼び寄せ、再度歩み寄ってくれる鍵だと私は思う。

(1)https://ja.wikipedia.org/wiki/パーチェスファネル
(2)https://www.starkinsider.com/2018/04/apple-iphone-brand-loyalty-1-year-high-samsung-lg-motorola-report.html

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