お知らせ
若者に人気の動画配信SNSアプリ「TikTok」が13歳未満の児童ユーザーから位置情報などの個人情報を収集されていたことから570万ドル(約6億3000万円)の罰金を支払うことよって米連邦取引委員と和解した事実が明らかになった。
米国ではChildren’s Online Privacy Protection Act (児童オンラインプライバシー保護法)によって、13歳以下の児童の個人情報を収集する際には保護者の許可を入手することが義務づけられている。
「TikTok」のユーザーは若者が多い上に、中国の企業が開発したアプリだったことで、今回の措置に至った背景がある。
往々にして未成年がどのようにネット上で個人情報を提供するかは保護者が管理しきれない領域だ。ただ年々、スマホ利用者の年齢が下がり、その利用が一般化しつつある現在、ハイテク業界は様々な国から厳しい目で見られているのは確かである。
また、個人情報の照会も以前は名前や生年月日の照会のみだったが、ブラウザやGPSとの連携がサービスとして当たり前になっている今、音声データや位置情報などの「情報」の切り口がより高度になっている。
「Facebook」に続き、「TikTok」も例外ではなく、機能や個人情報の収集機能は「LINE」や「Apple」など他のサービスと比較して同等なものだ。
ユーザー層がデジタルネイティブ世代になるに連れて、個人情報の開示についての抵抗は下がってはいるものの、当然ながらユーザーの中にはこれに抵抗する層も一定度存在する。
提供する側としては「だったらサービスを使わなくて良いのでは」とする反論の応酬となり、ユーザー側として「使わなくては困る」とさらに反論をする。
ここで言えるのは、ユーザー側、政府側が求めるのはサービスを提供する企業側の透明性だ。
ユーロ圏ではGDPRの実装により、取り締まりをより強化してはいるが、グローバルにサービス展開するデジタルサービスにあっては、それこそグローバルに多国籍のリーガルに対応する配慮が必要だ。
また、企業コミュニケーションの観点からも、大きな課題担ってくるのではないかと感じている。
現在ハイテク産業で騒がれるIoT技術やビッグデータの背景には、大量の個人データの存在とその活用が絡んでいる。
そして、各国政府の取り締まりもアメリカにおけるTikTok事例だけでは収束しないだろう。
2019年度におけるモバイルアプリの市場規模は、560ユーロ(約7兆円)と予測されており、歴史が浅く急成長している業界だ。
様々な規制によって、サービスを提供しているハイテク企業は試練の時期を迎えるだろう。
しかし、その根幹にあるのはユーザーとのコミュニケーションとユーザーデータの透明性にある。
ユーザーにどのような価値提供をし、その代償としての情報開示がどこまでなのか、具体的な企業側の商業利用の範囲や、データの使われ方が明確であることで、ユーザー側もサービスを選ぶ権利を主張でき、この一連の動きは緩和されるのではないだろうか。
ただ、ユーザーに対して、長文かつ不親切な同意書に同意のチェックマークをつけさせることで規制を潜ろうと考えているのであれば、企業側には今後更に多くの試練が訪れるのではないだろうか。
出典:
「平成28年版 情報通信白書」総務省
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/html/nc122230.html
「TikTok agrees to pay $8m fine for Children’s Online Privacy Protection Act violations」ABC News,Mar.1st 2019,
https://www.abc.net.au/news/2019-03-01/tiktok-app-child-privacy-violation-most-downloaded-apps-youtube/10862462
「TikTokに罰金約6億3000万円。13歳未満の子供のプライバシー侵害、米連邦取引委員会と和解」Engadget 日本版, 2019年2月28日,
https://japanese.engadget.com/2019/02/28/tiktok-6-3000-13/
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