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近藤麻理恵がアメリカで人気になったワケ

2019/4/2 ブログ 傾聴 Kusumegi

2019年早々のトレンドとして現在アメリカで話題になっているのは、近藤麻理恵のNetflix番組、『Tidying Up with Marie Kondo』だ。
この番組では、モノに溢れた家庭を助けるべく、近藤さんがクライアントの家を訪問し、断捨離の手伝いやアドバイスをする。
彼女のアドバイスを経て、家が綺麗になるにつれてクライアントに大きな変化が出て、結果として幸せを手に入れるといったストーリーとなっている。

生活スペースを綺麗にして気持ちの良い空間にすることは元来、多くの人の課題であろう。
私もその一人で、そのノウハウは現代社会においてニーズが高い内容だ。
だが、そのなかでも近藤麻理恵さんがアメリカで大ブレイクしたのは何故だろうか?

その要因は大きく3つあると考える。

① ミニマリスト生活の流行(ソーシャルリスニング力)
② 西洋文化と比較しての概念の斬新さ(イノベーションの展開)
③ 近藤さんの人柄とコミュニケーション(受け入れやすいコミュニケーション)

①ミニマリスト生活の流行(ソーシャルリスニング力)
近藤麻理恵さんが米国メディアにデビューするタイミングはアメリカでのミレニアル世代の価値観がピークを迎えるタイミングと一致した。
これは彼女にとって大きな商機だったと思う。
西洋ミレニアル文化のトレンドとして、ミニマリズム、最低限のモノで生活するライフスタイルが人気だ。
近藤さんが推薦するKon-Mari Methodは彼女なりの整理の仕方のメソッドで、ミニマリズムにも似たような概念でもある。
ミニマリズムが若者の中で人気を集めていたのもその消費行動が与える環境への悪影響やモノに溢れた生活が与えるメンタルストレスなど、これまでの消費が多いライフスタイルが招いた課題に過ぎない。
近藤さんは自分の掃除の知見がアメリカでも受け入れられることを信じ、渡米した。そのタイミングこそが今の成功に大きく関係していると考えられる。だからこそ社会的な次世代の概念、ニーズの理解が自分の強みを開花させ、商機を迎えることができたのだ。

②西洋文化と比較しての概念の斬新さ(イノベーションの展開)
近藤さんがブレイクしたもう一つの理由として、西洋文化から見た斬新さもあると考えられる。
アメリカのライフスタイルは、日本とは違い生活基準も違う点が多い。
東京都内に住む家庭は、限られた住宅の面積にモノを納めなくてはならないし、家電や家具にも大きさが限られる。
それに比べアメリカでは家電や家具も比較的大きく、収納する場所もたくさんある為、断捨離するニーズも少ない。そんな中、ある日本人がモノをボンボン捨てるのはとても斬新で不思議な行動とも見えるだろう。
また、ハフィントンポストのディロウェイ氏※1が語るように、宗教的な違いも関係してくるのではないだろうか。
近藤さんはモノを捨てる際、モノに感謝をするという概念がある。
伝統的にモノに神が宿るといった概念がある日本人にとっては不思議な行動ではないだろうが、西洋文化にはそのような文化はほとんどなく、とても斬新な見方となっている。
近藤さんは「自分をときめかせるモノ」はキープし、「ときめかないモノ」は捨てるといったとてもシンプルな概念をアメリカで展開しようとしている。
この概念をもつことで人生が豊かになり、幸せと感じられるか。
日本人にとってこのシンプルな考え方がアメリカでは大きなイノベーションとなった。

③近藤さんの人柄とコミュニケーション(受け入れやすいコミュニケーション)
近藤さんの掃除方法が人気になったものの、それが必ずしも全員に受け入れられたわけではない。ソーシャルメディア上では批判も多くある。
例を挙げれば、近藤さんの「理想として本は一人大体30冊以内に収めよう」という発言に対して一部の本好きから、「近藤さんは本嫌いだ」というバッシングを受けたことなど、彼女の概念を個人的な批判として受け止められるケースもある。
ただ、近藤さんがアメリカでここまで人気になった理由の一つとして、彼女の『コミュニケーション力』があると私は感じている。
例えば、本嫌い疑惑のバッシングでは、誰をも否定せず、「本を捨てる行為」に対してのパッションを受け止め、それに対して相手の価値観を尊重する形で対応した。
自分へのバッシングを相手の気付きへと変える彼女の素敵なコミュニケーション能力と謙虚さが人の心を掴んだのだと思う。「譲らず」、「どストレート」に会話するアメリカだからこそ、その謙虚さが尚更評価されるのだ。

近藤さんの事例は、「広報」と「マーケティング」というフィールドでの好事例の一つではないだろうか。
是非彼女のチャンネルをご覧になり、企業側のコミュニケーション、新規事業、グローバル展開などのヒントになれば幸いだ。

出典元:
※1 「What White, Western Audiences Don’t Understand About Marie Kondo’s ‘Tidying Up’」 (1/22/2019) HuffPost

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