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“媒体ありき”のコミュニケーションよ、さらば

2019/6/26 お知らせ, ブログ staff

これまで、テレビやラジオが主流だった広告媒体はデジタル移行が著しい。
さらに、米国においては2000年代になるとIBM、デロイト、PwC、アクセンチュアなどのコンサルティング企業が、自社に広告代理店機能を持ったり、またはエージェンシーを買収したりして、続々と広告・マーケティング市場へ参入している。

2014年における米国のデジタルエージェンシーの収益ランキングでは、IBM Interactive Experienceが1位、2位はDeloitte Digital、3位はAccenture Interactiveと、それまで上位を占めていたWundermanやDigital@Ogilvyなどを抑え、コンサルティング業界系の企業が勃興してきていることがわかる。
一般的にこれらの動きは、それまでIT系のコンサルテーションを主軸としてきたコンサルティング業界が、デジタルコンテンツの企画・制作、マーケティングなどの分野へ自然な流れで進出したと認識されている。

確かにその受け止め自体も自然であるが、その根底には、広告媒体がデジタルに移行している大きな流れに加えて、既存の広告エージェンシーにはない「コンサルティングノウハウ」こそがそのシェア拡大の一因になっていると思えてならない。

一般的に広告制作は、「広告枠ありき」、エージェンシーや彼らが抱える制作会社の得手不得手によって、広告主はそれを使い分けてきた。
つまり、「どの媒体で宣伝するか」ありきで広告制作がされていっても過言ではない。

商品の宣伝キャッチコピーはある。雑誌某が今売れていて予算的にもマッチするから写真広告を出そうだとか、高視聴率番組某のスポンサー枠が空いているからCMを出そうだとか、広告の「枠」を中心として行われてきた。
デジタルに推移している昨今、「広告の枠を取る」というよりも、「どの層に見てもらいたいのか」といった明確なマーケティングによって広告を打つ時代に代わってきている。

あの媒体の広告枠をもっているから強いという世界ではなく、しかも視聴率という統計学的には正しくともしっかりと広告主の商品にリーチしているか掴みきれない不明瞭な媒体よりも、広告をクリックしてユーザーエクスペリエンスによりリーチ率が一目瞭然のデジタルコンテンツのほうが明瞭と評価されている。
ここでそれまでの広告エージェンシーと差をつけたのがコンサルティングノウハウを持つIBMやデロイトなどのコンサルティング企業だったのではないだろうか。

まず、媒体有りきではなく、

1,「誰に」「何を」伝えたいのか、マーケティング的視点からターゲットと目的を洗い出す
2,メインターゲットとその嗜好や所在地などをリサーチした上で、
3,ターゲットと目的に合った媒体探し

というロジカルなプロセスが、ダイレクトに販売率向上という結果につながるために広告主の支持を集め、既存の広告エージェンシーと差別化が出来ているのだと考察する。
SNSのエンゲージメントを高めるために、クリエイティブや「動画」ありきでコンテンツ制作をしていないだろうか。
動画を作るために、ネタ探しをしてはいないだろうか。

コンサルティング企業系の広告エージェンシーの隆盛は、「誰に」「何を」を伝えたいのか、上位概念に昇華して思考することで、「伝えたいこと」を「伝えたい相手に」リーチさせる近道だと気づかせてくれたと考えている。

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