お知らせ

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により、世界規模で前代未聞の状況を迎えています。
日常生活でも身近に影響を受けている人がほとんどではないでしょうか。企業もこの急な事態への対応を求められております。
自社事業に関連する支援もそうですが、自社のリソースを活用して全く別の分野にチャレンジし、社会が必要としている疫病の世界的大流行時の要望を応えている企業もいます。
今回、その社会ニーズにチャレンジしている企業事例にスポットライトを当てていければと思います。

事例1.
New Balance
大手スポーツ用品メーカーの中でもアメリカ国内にサプライチェーンを持つNew Balance。
自社のボストンとメイン州にある生産拠点にて使用しているスニーカー用素材をマスク生産にまわし、医療関係者用に配布する活動を行っている。ゴールは4月半ばに週当たり生産量100,000枚のマスクを生産すること。
自社の工業リソースとノウハウを有効活用し、企業文化を推奨。


労働状況が厳しくなる一方で、社会的意義の高い仕事を新しく作り、労働者を保ちながら最前線を戦っている近隣コミュニティの病院への支援は従業員のモチベーション向上につながり、新しいファンへの獲得にも繋がります。スピード感を持って、自社の強みを図り、危機をチャンスに変えた事例となります。

事例2.
LVMH 
ルイヴィトンやディオールなどの有名化粧品ブランドを抱えるフランス大手企業、LVMH.自社の化粧品や香水の生産力をアルコール除菌液生産にまわし、ヨーロッパの大手病院などに無料配布を開始すると発表。また、4億枚のマスクを無料配布することも発表。
この時勢の中で高級品メーカーとして、消費者に高品質以外の訴求要素を提供しています。ブランド力が最重要テーマであるラグジュアリー業界で、利益でなく社会から求められるブランドづくりを心掛けているLVMHの取り組みは業界をリードする企業活動として注目を得ています。

事例3.
Hilton
世界的ホテルチェーンのヒルトン。旅行者の激減と相次ぐキャンセルにより、大きなインパクトを受けた旅行業界の代表例ですが、空いたお部屋を最前線で働いている医療従事者に無料提供することをツイッターで発表。


日頃からコロナウィルスに直接触れ、家族から離れなければならない医者や看護師に休める場所を提供するために動き始めた。アメリカ国内にある1000万部屋を準備し、4月13日から5月31日まで提供する予定。
上記のような活動を通して「ホスピタリティ」の意味を自社の活動と紐づけ、ブランド力向上を手掛けている。
新型コロナウイルスの拡散で最もインパクトを受けている旅行関連業界。Hiltonの他、一部の企業では自社のサービスの原点と理念に振り返り、社会活動を進めています。企業コミュニケーションの担当としては、その社会活動をステークホルダーに届け、サービスパイプラインの最前線に立っている人たちを企業が認め、評価することが重要なのではないでしょうか。

事例4.
ファーストリテイリング
カジュアル衣料品の生産販売を展開しているユニクロを運営するファーストリテイリング。中国の自社取引先工場の協力のもと、医療用マスクを1000万枚規模で調達し、日本と各国で優先度の高い医療機関に寄贈すると発表。また、ファーストリテイリングは新型コロナウイルスの拡大が報告され始めた1月以降、中国、韓国、東南アジアでのユニクロ現地法人を通して医療従事者向けにヒートテックやダウンジャケット、エアリズムなどの衣料提供を実施し、現地NGOへの寄付も行っていた。
自社のサプライチェーンを社会貢献活動に有効活用したファーストリテイリング。グローバルに展開している取引先やリソースと連携し、社会的に必要とされている医療従事者用のマスクに生産をシフトしています。
グローバルに展開している自社の現地法人と連携し、自社の商品の有効活用の例でもあります。自社の幅広いネットワークを活用してより大きな規模に活動を展開している良い事例です。 

多くの企業が事業の縮小や労働力の軽減などに追い込まれているなか、いち早く社会のニーズを把握し、出来ることを明らかにして具体的なアクションを起こしている企業が、社会との新たな接点を構築しています。
BtoC企業、そしてそれを支えるBtoB企業ともに、急激に厳しくなっている従業員、消費者、ステークホルダーの立場を把握し、自社の「出来ること」と「企業理念」を照らし合わせる機会ではないでしょうか。

現状把握とアクションプランを明確化できれば、ステークホルダーを交えた対話もより具体的なフィードバックを得やすくなるはずです。人々の余裕がなくなっている非常事態こそ、人は厳しい目で物事の良し悪しを見分けようとします。

企業のコミュニケーション担当者としてはとてもお辛い事態だと思いますが、「自社の経営」と「対話を求めるステークホルダー」の双方に寄り添うべくご活動されることをお祈りいたします。

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