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フランスに学ぶビジネスコミュニケーション術

2016/10/21 ブログ グローバル・海外広報, コミュニケーション戦略 staff

先日、弊社フェイスブックでも、フランス貿易投資庁がフランスに対する固定観念を払拭するためのプロモーション動画を公開したことをご紹介しました。
フランスでは昨年から毎年10月を対仏投資月間と定め、世界中から外国企業を誘致する活動を行っています。この動画もその一環として制作されたものと考えられます。

国・政府が海外企業に向けてプロモーション活動を行ううえでも、「わかりやすさ」が重要です。現にフランス政府はこれまでもインフォグラフィックや動画、ソーシャルメディアを使ってフランスの魅力を伝えようとしています。(http://www.gouvernement.fr/les-infographies-et-videos
冒頭の動画も、基本はフランス語と英語で制作し、9ヶ国語分の字幕入り版を作っています。(字幕版の中には動画で比較の対象としているドイツ語版も含まれています!)

フランス人は元来よりおしゃべり好き、議論好きです。(これも固定観念かもしれませんが。)ディナーに2時間以上かけるのは当たり前で、ラーメンを食べるときでさえゆっくりおしゃべりしながらディナーを楽しむのです。

かつてパリでラーメン屋の前を通りかかったとき、店の外に行列があり、店内もたくさんのフランス人がラーメンを楽しんでいました。2時間以上経って同じ店の前を通りかかったときに、列はさほど進んでおらず、中でも同じ人がラーメンを「食べ続けて」いたのはかなり衝撃的でした!

このようなフランス人気質があってか、フランスでは昔からコミュニケーションをよく考えているように思います。在日フランス大使館のサイト(http://www.ambafrance-jp.org/-Japonais-)も言語によってきちんとグローバルメニューから分かれています。

 

在日フランス大使館のコミュニケーションにみる言語対応の考え方

日本語は「フランスに行きたい日本人向け」に、フランス語は「日本にいるフランス人向け」に完全に分かれています。日本語ページのグローバルメニューが、「大使館について」「ビザ」「フランスへ行く」「フランスを知る」「日仏ネットワーク」「最新情報」の6つのカテゴリに分かれているのに対し、フランス語ページは、「大使館について」「フランス人向けサービス」「フランスへのビザ」「日本での生活」「日本におけるフランスネットワーク」「最新情報」の6つです。

英語ページは設けられていません。
 
「ネットワーク」カテゴリのコンテンツ内容も若干異なり、日本語ページでは公式のフランス語学校などが紹介されているだけであるのに対し、フランス語ページはフランス選挙の投票手続きなども紹介されています。
 
閲覧者の立場にとってみれば、使用する言語が異なれば立場も異なるのだから、求める情報が異なるはず、という至極当然の要求に応えているのです。

 

なお、在仏日本大使館のサイトを見てみると、日本語ページとフランス語ページとで、サブメニューは異なっていますが、グローバルメニューはフランス語ページの方がカテゴリ数は多いですが、内容的にはあまり変わりはありません。

どちらの言語で見ても同じ情報が得られるように準備することは、丁寧ではあるかもしれませんが、コンテンツを追加しようとするときに常に翻訳の問題がつきまとい、場合によってはスピード感も欠けてしまいます。

言語で割り切ってしまう方が合理的ですし、生産性も高くなるのではないでしょうか。これが日本の方が長時間労働なのに、労働生産性を比較するとフランスに大きく水をあけられていることの証左の一つと言えるかもしれません。

(参照:公益財団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較 2014年版」)

 

今フランスでは、Brexit後のEU経済の中心たる地位を確固たるものにしようとする意図があり、現に閣僚が銀行や金融機関に対してロンドンからパリへの移転を促す発言をしています。

https://www.theguardian.com/business/2016/oct/10/france-helps-banks-consider-moving-to-paris-after-brexit-vote

冒頭の動画もその点を意識しているものと考えられます。

フランスの数年先の姿を設定し、その実現に向けたコミュニケーション術には日本としても学ぶことは多そうですね。

ちなみに、動画ではにわとりが登場していますが、雄鶏はフランスの象徴として使われる動物です。鳴き声は“Cocorico!(ココリコ)”と表現されますが、フランスサッカーチームがゴールしたときやフランス人が外国で何らかの賞に選ばれたときなどの愛国的な場面で「やったー、おめでとう」という意味でCocorico!と叫ばれることがあります。

ヨーロッパ内ではこのコンテクストは通じると思いますが、日本ではさすがにそのコンテクストは通じないですよね。(大した問題ではありませんが。)

グローバルコミュニケーションの難しさがこういうところにも表れています。

 

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