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画像のレタッチ(加工)に見るコミュニティとの対話姿勢
2018/10/24 ブログ, 未分類 ソーシャルメディア, ダイバーシティ, ビジュアルコンテンツ, リスク・危機管理, レタッチ, 企業レピュテーション, 企業倫理, 傾聴, 画像加工
近年のフランスでのレタッチに関する報道は、企業にビジュアルに関するコミュニケーション姿勢を問い直すきっかけとなりえるものだ。
写真を加工して生徒の肌の色を変えた芸術学校
2017年10月1日、フランスでは商業写真に修整を施した場合はレタッチフォト(加工写真)と明記することを義務付ける法律が施行された。
(出典:「New French Law Requires Label For Digitally Altered Photos Of Models」、2017年10月1日、Forbes)
法律施行翌年の9月、フランスのリヨンにある芸術学校の米国向けプロモーション画像がレタッチ(画像加工)されていたことを学生が発見し、問題となった。
このプロモーション画像はクラス旅行の集合写真で、このうちの数名の学生の肌の色が変えられており、ひとりの学生は全く別の人物に差し替えられていたのだ。
(出典:「Students made to look black in French art school photo」、2018年9月13日、BBC News)
Mais c'est pas possible d'être nul à ce point…. Pffff pic.twitter.com/1ZiplWnVTB
— Bérénice Martin (@toxikcherry13) September 10, 2018
この芸術学校はロサンゼルスに新しい学校を開校するため、米国のコミュニケーション会社に「ロサンゼルスで学校の評判を高めるため」として数枚の写真を送っただけだと釈明した。
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商業写真にレタッチフォト(加工写真)と明記することを義務付ける法律が施行された背景には、極端な理想の美(細すぎるモデル)を促し、若者の間に拒食症が広がっていることがある。
問題とされる当該の芸術学校の姿勢は、
✓「人種の多様性」をねつ造し、事実と異なる組織の文化を訴求したこと
✓学生本人の承諾なしに彼らの外見・存在に変更を加えたこと
であると考えられる。
レタッチ行為の裏側にあるCSR(企業の社会的責任)姿勢
多くの人の関心を呼ぶためのビジュアル広告やプロモーションは、企業が予算をかければかけるほどに露出機会も大きくなり、その影響力も大きい。
フランスがレタッチに関する法律を制定した背景にある企業の責任の代表的な例は、極端に痩せているモデルを起用しつづけたことにある。
若者への悪影響や社会の要請を受け、大手アパレルブランドのLVMHやKeringはサイズ・ゼロ(日本サイズ5号もしくはそれ以下)のモデルを起用しないことを発表している。
(出典:「Fashion giants LVMH and Kering ban size zero models」、2017年9月6日、REUTERS)
法律に対応するだけならば、広告に「レタッチフォト」と明記するだけで済むところだが、LVMHやKeringはその背景にある社会問題に向き合った企業姿勢を示している。
フランスの芸術学院のレタッチに関する報道は、組織よりも先に学生が問題提起したものだ。
有名ファッション誌VOGUEの表紙は昨今、ふくよかな体のモデルが飾ることもある。
性差別や性的マイノリティの権利を訴える声を耳にしない日はない。人種差別や宗教観による差別もソーシャルメディアを中心に世界中の人々が苦悩や共感に声を上げるテーマである。
企業は、広報や広告など発信を目的としたコミュニケーション活動のみならず、社会の声を「傾聴」し、社会と自社の考えや活動との間にギャップがないか、「定点観測」をする必要がある。LVMHのようにブランド力のある企業であればあるほど、企業が率先して社会とのギャップを埋めようとし、具体的にアクションすることで、社会や自社ブランドのファンに対する影響や反応が高くなることを期待している。
フランスの事例や、ビックブランドの動きを他人事とせず、業務フローとして自社に「社会傾聴」や「定点観測」する機能があるのか、再点検してみてはいかがだろうか。
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