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IABCワールドカンファレンス2011 San Diego 参加記(3)IABCジャパンチャプタープレ ジデント 雨宮和弘

2011/6/24 イベント, ブログ Kaz Amemiya

ワールドカンファレンスは大まかに申し上げますと3日半のスケジュールで90近く のセッションと朝や昼にキーノートスピーチ、そして地域や役割ごとの分科会、レセ プションパーティーなどで構成されています。希望者には朝7時からヨガのクラスまであり、い たれりつくせりです。

キーノートは団体外から毎年ワールドプレミアクラスのスピーカーを集め、一流のプレゼンテーションを聴く事が出来ます。これもとても刺激的な事です。

今回もたくさん興味深い話を聞くことが出来ました。

1. 「How we decide: The new science of decision making」Jonah Lehrer

ジョナ・レーラーさんはコロンビア大学で神経科学を専攻した後、英国オックスフ ォード大学に留学し現代文学を学んだ多彩な方で、日本でも「一流のプロは感情脳で 決断する」という本を出版されています。

このスピーチもほぼその本に添った形の内容で、迅速な判断や意思決定にこそ、自身の感情に訴える必要があると説いています。逆説的にも思えますが、「デザイン」や 「センス」など感情値をどう伝え、評価するのかを常に考えていた私にとっては、その根拠を科学している方の「自らの感情に訴える事で、的確で最良の決断が早くできるようになる」というメッセージは新鮮で心強く感じました。
やはり専門用語の多いスピーチは大意を受け取るのが精一杯ですが、上記の本をさっそく呼んでみようと思いました。

2. IABC’S 2011 EXCEL Award winner Deborah Tarbart

コミュニケーションリーダーシップ(EXCEL)賞はIABCが授ける最高の栄誉の一つで、IABCメンバー以外の優れたコミュニケーション・リーダーシップを発揮する人物を表彰するものです。

過去20年間、デボラ・タルバートさんは、過去20年野生のコアラの生態系保全を行ってきました。世界中にコアラを取り巻く現状と保全に向けた活動の理解を取り付けるためにKoalaMapと呼ばれるオンラインコミュニティを作るのみならず、コアラに興味を向かせるコネクションポイントがどこにあるかを調べ、まるで神経細胞もうを作るようにネットワークを作っていきました。たとえば日本にコアラのマーチというポピュラーな菓子があると知ると、ロッテと恊働プロジェクトを起こすなど。「伝わる」コミュニケーションの規範を示すこと。それが評価されるコミュニケーション・リーダーシップの所以かもしれません。

3. 「Half the sky: Turning oppression into opportunity for women worldwide」Sheryl WuDunn

「ハーフ・ザ・スカイ」とは中国の古いことわざで、空の半分は女性が支えているという意味です。

シェリル・ウーダンさんは人身売買と強制売春、集団強姦をはじめとする性別にもとづく暴力、妊産婦死亡という世界の女性に対する三つの悲劇に焦点をあて、その啓蒙活動を行い、ピュリツァー賞を受賞しています。
20世紀のすべての戦争で殺された男性よりも、過去50年間に「性差に基づく殺人」で失われた女性の命が多いという衝撃的な事実をレポートしました。しかし彼女のスピーチは単にその惨状と理解を訴えるだけではなく、「健全な社会の醸成に女性の力が解決策になる」というメッセーjを伝えてくれました。前にも書いたように、IABCのカンファレンスは6割強が女性。そして様々な話題を話す上で、非常に常識的で心地よい印象を得るのは偶然とは思えません。翻って日本の多くのコミュニケーション関連の方が集う場は、まだまだ男性中心で、多くの可能性をスポイルしているのでは?と感じるのです。シェリルさんのスピーチや著作も、様々な場で日本語で読む事が出来ます。

4. 「MOJO: How to get it, how to keep it, and how to get it back if you lose it」Dr. Marshall Goldsmith

マーシャル・ゴールドスミスさんは、GEのジャック・ウェルチさんのパーソナルコーチを務めるほか、フォーブスなどで「世界の15の最も影響力のあるビジネス思想家」の一人に選ばれた方です。

「モジョ」は、ブルースや映画「オースティン・パワーズ」などでは魔力や魅力などととらえられていますが、ここでは「明確な目的をもって、力強く、ポジティブに物事を行っており、それを他者に認めてもらっている状態」と定義しています。マーシャル・ゴールドスミスさんは、「仕事を楽しみ、やりがいを感じると同時に、その経験を他者に伝えているとき、Mojoのレベルは最高になる」とおっしゃっていました。とにかく明るいプレゼンテーション。そしてクロージングスピーチにふさわしいポジティブな空気を作り出してくださいました。
参加者全員に最新の著作が配られたのですが、なんと!全てに直筆のサインがついていたのです。
来月早々には日本にも来日するとの事。私達のメンバーもスピーチの後、挨拶に行き、気軽に対応された事に感動していました。

専門家を迎えた議論のみならず、トップレベルの提言やプレゼンテーションにふれられるのもIABCワールドカンファレンスの価値の一つです。

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