お知らせ
本日は朝から、英国大使館/ブリティッシュ・カウンシル共催シンポジウム
「グローバル人材育成における日英協力の可能性」に参加してきました。
冒頭、駐日英国大使であられるサー・デービッド・ウォレンさんの開会の辞に続き、文部科学省国際統括官、加藤重治さんより「グローバル人材育成に向けての大学の取り組み」というお話を聞きました。
先般も日本経済新聞に企業人事が欲しい人材特性のトップが「コミュニケーション能力」という話がありましたが、さらに加えて”グローバル”となると、、お考えになる人材とは、
「コミュニケーション能力そのものよりも異文化の仲間と協力して働き、新しい価値創造ができる人」
と定義されていました。大学時代に積極的に外に出て異文化に触れることは必須であり、そのため(相手と意見交換するためには)日本人としてのアイデンティティをしっかり持つこと。企業も学生に空白のない履歴書を要求しすぎるのではないか?という言葉が印象的でした。
企業側の事例では、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社、取締役人事総務本部長の宮田裕子さんによる「英国企業のグローバル人材政策」というお話が大変ためになりました。
ユニリーバでは各国の社員の特性を上手く活かして経営されています。
例えば我々日本人は、漠然としたアイディアを具体的な形やモノにするのはとても上手。半面、自ら提議したり、ディベートには一瞬臆する場合も少なくありません。
しかし世の中は不確定で変化が激しく、それに機敏に対応していくためには、様々な考えを持つ多国籍にチームにおいて、それぞれの強みをかけ算していくことで高い成果を上げるように考えられているそうです。
日本人のスタッフには、そのようなやり取りの中で、一時的な評価に左右されない(へこたれない)パッションやエネルギーを持つことが肝要だとおっしゃっていました。
これはとても共感します。
IABCのワールドカンファレンスに参加しても、みんな英語の上手い下手などお構いなしに自分の考えをぶつけてきます。
また、午後のパネルディスカッション「グローバル人事政策におけるチャレンジと解決法」においても、宮田さんはダイバーシティの取り組みに関し、非常に明快なコメントを述べていらっしゃいました。
「その会社が真剣にダイバーシティに取り組んでいるか否かは、プロジェクトがトップのチームのイシュー(解決課題)に組み込まれているかどうかでわかる。すなわち、それを取り込むことのビジネスメリットがわかっていなければやっても意味のないことだからだ。端的にいえば、ジェンダー・ダイバーシティの場合、女性に対しての待遇を考慮するだけでは済まない。男性が早く帰宅できない会社では女性はキャリアを作れない。」
また、人事の役割の話では
「欧米企業の人事権はラインが持っている。よって人事の仕事は戦略のみ。経営と一緒に戦略を作っていけなければ残れない」
という話が印象的でした。
これはほぼ、広報についても当てはまると思います。
広報も、欧米企業ではこの10年で宮田さんがおっしゃるような変化が顕著なのです。
メディアリレーションなどの機能はアウトソース。スポークスパーソンも経営や広報の特定の人間が行う時代から、社員全員が直接様々なステークホルダーと会話をし、ぶれずに評判やブランドが維持、発展できるようにならなければいけない。
となると残るは経営に寄与するコミュニケーション戦略を立てるという役割になります。
いずれにせよ、グローバル人材の育成に対し、まだまだ官民学あわせてやるべきことは少なくないな、と思う反面、それはお仕着せで動かすべきではなく、やはり自ら動く人を後押しする形が望ましいのだと改めて思いました。
すでに私の周りにも、そうやって動き出している方は出始めています。ただ日本の場合はさらにそういう方がリファレンスとして自分の経験を残せる(他者が参照できる)場が必要なのかもしれません。
私が行っているIABCの場も、その一助となれば、という思いです。
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