お知らせ
技術広報は、「わかりやすさ」だけでは十分ではありません。
先日開催された日本広報学会の2015年度研究発表大会で、経済広報センターによる「科学・技術報道と広報の変遷と現状、課題」が発表されました。
報道機関の関心や企業の現状など、とても興味深く、参考になる情報が多々ありましたが、その中で紹介されていた企業事例は、各社ともに「わかりやすさ」に重点を置いており、若干の違和感を感じました。
メディアリレーションを起点にした技術広報では、多様なステークホルダーが想定されるため、「わかりやすさ」に配慮することは当然の選択であるといえます。
しかし、技術広報全体で見た場合、その目的は、「わかりやすさ」が意味するところの“既存の技術を知ってもらう”、“正しく理解してもらう”だけでしょうか?
経営者は他社とのコラボレーションを期待している
昨今、技術広報が多くの企業の関心事となっている背景のひとつには、イノベーションの誘発への期待があります。
GEが発表した2014GEグローバル・イノベーション・バロメーターでも、グローバル企業の経営層の77%が、「(他社との)コラボレーションは取るに値するリスク」として認識、コラボレーションを推奨しているとしています。
この結果が示すように、社会が求めるニーズとスピード感に合った製品やサービス、新しいコンセプトやビジネスモデルを、自社単体で生み出すことは難しくなってきています。
それ故に、大手各社はオープン・イノベーション戦略を打ち出し、外との協業に期待を寄せているのです。
イノベーション誘発のための技術広報を意識した手法を
イノベーションの誘発を期待するのであれば、技術広報のターゲットは「わかりやすさ」に重点を置くマスメディア向けだけでなく、ベンチャー企業やスタートアップ企業向けのアプローチが必要となってくると考えます。
たとえば、知財戦略、研究に携わるメンバーの強み、発表論文、研究規模や予算、実績、技術の解説だけではない技術に対する考え方や周辺領域の情報など、コラボレーションのターゲットに判断材料をより多く示すことが望まれるでしょう。
何のために自社の技術を訴求するのか、その目的を見直し、ターゲットそれぞれに合ったアプローチで技術広報を実践し、より多くの企業でイノベーションが活性化すると嬉しいです。
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