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2015年コミュニケーション5大ニュース【3】大学広報のゆくえ

2016/1/4 ブログ グローバル・海外広報, グローバル教育 staff

クロスメディア・コミュニケーションズ的【2015年コミュニケーション5大ニュース その3】
あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

年末年始の楽しみを一つ挙げるとすれば、やはり箱根駅伝でしょう。オリンピックや世界陸上のマラソンとは異なり、毎年様々なドラマが繰り広げられ、大手町に戻ってきたときには、思わず涙が頬を伝ってしまいます。

今日はそんな箱根駅伝に関連した記事です。

3.青山学院大学、箱根駅伝優勝・・・大学広報のゆくえ

2015年は弊社のご近所の大学である青山学院大学が初優勝を遂げました。ご近所であるがゆえに5大ニュースに選んだのですが、今年も連覇、しかも全区間1位という完全優勝を39年ぶりに遂げました。もともと知名度のある大学ではありますが、さらに「駅伝強豪校」として一つのブランドが確立されたのではないでしょうか。

駅伝をはじめ、野球、サッカー、ラグビー・・・様々なスポーツが大学の知名度を上げることに寄与することは古くからありますし、また、大学広報においては「入試広報」という大学ならではの分野も発達し、大学の知名度向上に寄与しています。人口減少が進む日本において、どのように学生や受験生を確保するのか、その対策が課題となっており、いずれの大学も知名度の向上に苦心しているのです。

そこに新たな風を吹き込んだのが、文部科学省による「スーパーグローバル大学創成支援事業」です。これは日本の大学の国際化を促進し、世界のトップランキングに入る大学を増やしていくことを支援する事業で、最大10年間、年間2億円~5億円の補助金を支給する、壮大な事業です。知名度に頼るのではなく、大学の仕組みを大きく変えることでその大学の持つ価値や魅力を高める、そういった目的を持った事業であるといえます。2014年にタイプA(世界大学ランキングトップ100を目指す力のある、世界レベルの教育研究を行うトップ大学を対象)として13校、タイプB(これまでの実績を元にさらに先導的試行に挑戦し、わが国の社会のグローバル化を牽引する大学を対象)として24校が採択され、現在1年目が経過したところです。

これまでの各校の取り組みがサイト上で公表されていますが、いずれも学部・学科の新設やセメスター制改革、海外大学との協定締結など、いわゆる「箱」の整備に終始している感があります。

例えば、タイプAの東京大学は、総合的教育改革と戦略的パートナーシップ、構想の企画立案・遂行を進めるプラットフォーム確立の3つを課題として掲げています。コミュニケーションに関する事項は3つ目のプラットフォームとしての「国際本部グローバル・キャンパス推進室」の中の一部門である企画広報部門の役割の1つとして「国際広報・情報発信」とあり、全体の中での重要度・優先度が高いとは必ずしも言えません。また、タイプBの立命館大学は2015年12月14日に日本語サイトリニューアルがされましたが、英語サイトはまだこれからです。同大は「グローバル・アジア・コミュニティに貢献する多文化協働人材の育成」を掲げ、オーストラリア国立大(ANU)との共同学士課程(ダブル・ディグリー制度)を構想するなど、非常に先進的な活動を行っておりますが、やはりコミュニケーション課題についてはまだ言及されておりません。英語サイトの有効な活用が期待されます。

まだ事業の1年目なのでまずは体制を整えることが重要ですが、「箱」ができた後には「中身」つまり学生や研究者をどうやって集めてくるかが課題となります。ここで重要になるのは、いかに大学の魅力を学内外・国内外に訴求するか、というコミュニケーション力です。当然のことながら、ウェブ上に情報を掲載すれば優秀な学生や研究者が集まる、というほど簡単な問題ではありません。「ス―パーグローバル大学」になるための真の目的を達成するためにも、どのような価値を伝えていくべきか、今からでも検討してみてはいかがでしょうか。

本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

次回は明日更新予定です。

(かきはら)

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