お知らせ
そろそろ受験シーズン突入ですね。受験生はテーマ的にもこのブログを見ることはないでしょうが、みなさんのご子息が当事者でいらっしゃるかもしれないのでご家族で頑張っていらっしゃるご家庭もあるかと思います。ぜひがんばってください。
センター試験の日は東京ではいつも雪が降っている印象で、私が受験生時代も同じく降っていました。とにかく滑らないように踏ん張って歩いていました。今年は暖冬のようなので、この点は杞憂かもしれませんね。
私自身はまるっきり文系人間なので、理系のことは皆目わからないのですが、広報ともなると(特に製造系の企業の広報の方は)理系テーマも避けて通ることはできません。今日はそんなテーマにちなんだ話題です。
4.大村智氏、梶田隆章氏ノーベル賞受賞・・・技術を伝える広報
この記事にもあるように、科学関連の賞について、記者が速報を出すのは非常に苦労するようです。ただでさえ発表されるまでは物理学のどんな研究に賞が与えられるのかわからないので事前勉強ができないのに、発表されても「ニュートリノ振動って何?」となるのは容易に想像できます。
企業が技術的な情報を発信する場合、いわゆる技術広報の場合も同様に、プレスリリースなどで記者にその技術を伝えるためには、スペックや数字を並べるのではなく、その技術が何の役に立つのか、何がどう変わるのか、などをわかりやすく伝える必要があります。しかも記者の関心度はノーベル賞へのそれに比べてずっと低いのですから、一目で技術の高さや社会貢献度の高さなどが理解できるように工夫されていなければ見向きもされません。記者が理解して初めて記事になることを忘れてはならないのです。
さらに、技術広報はメディアリレーションの問題に留まりません。近年は自社開発にこだわらず「オープンイノベーション」として、自社研究に外部の、しかも異分野の研究を取り込む企業も増えてきています。このような外部提携先を探すには様々な方法がありますが、その一つに自社サイトでの公募があります。このとき注意したいのは、自社研究の最先端の情報となるので、研究開発戦略の暴露とならないように気をつけることと、同じ技術者と言えども異分野であれば素人同然なので、欲している技術を理解しやすく表現することです。この相反する2つの注意点にジレンマを感じるかもしれませんが、適切に情報の線引きをし、場合によっては特許等によって知財保護をしながらコミュニケーションを取る、その絶妙な位置取りが必要です。
例えば、帝人株式会社ではオープンイノベーションの推進を宣言し、帝人グループの最新技術を展示したショールーム「テイジン未来スタジオ」を設置して、ここでしか見られない技術の紹介を行っています。これは共同開発者向けの施設と位置づけられており、誰でも自由に見学できるわけではありません。ウェブ上では間口を広げて概要はしっかりと見せつつ重要情報は外部とは遮断されたスペースに留めることで守る、というバランスの好例と言えます。
技術広報というと、単に「難しい情報をわかりやすく伝える」という点に終始してしまいがちですが、目的に沿って、誰に何を伝えたいのか、どこまで伝える/伝えられるのか、その相手はこの書き方で理解できるのか、獲得したいパーセプション(認知)やゴールを見据えて技術コミュニケーションを工夫してみてはいかがでしょうか。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
明日は5大ニュースの最終回です。ご期待ください。
(かきはら)
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