お知らせ
私がデザイナーとして社会人生活の歩みを始めたからか、出張に出て空き時間があると寸暇を惜しんで美術館や博物館、ギャラリーなどを訪れます。
先日は神戸に用事があり、横尾忠則現代美術館を訪ねました。
この美術館は、横尾忠則本人からの寄贈・寄託を受けて、2012年に開館した比較的新しい美術館で、アーティストとして存命中に自身の美術館ができたという事実は特筆に値すると思います。
彼は、そもそもグラフィックデザイナーでしたが、ピカソの絵画に衝撃を受けて、芸術家として生きる選択をしたそうです。
それまで築いたキャリアを捨てることは勇気のいることだっただろうと思うと、私自身共感を誘うアーティストでありました。
発注元である顧客がいて、ミリ単位以下の構成力が問われ、制作過程も評価されるデザイナー。
それに比べると、一見芸術家として生きるのは楽だと思われがちですが、作品という結果のみをただ社会に問われる方がはるかに認められる門戸は狭いのです。
そんな厳しい環境の中でも名声を轟かせ、更に多様なテーマで作品を世に出し続ける横尾さんには敬意を感じています。
今回のテーマ~兵庫県立横尾救急病院展~の展示は、長い彼のキャリアを総括するものでもあり、芸術家になってからも、様々なテーマに積極的かつ果敢にチャレンジし、アプローチしていたことを垣間見ることができます。
横尾さんについて調べていただくとおわかりになりますが、彼は幼少期から病気や怪我の連続。
そんな中、よくこれだけ続けることができたものだと率直に思いました。
この病院というテーマ。
自ら病の連続でありながら描き続けることで、他者へ勇気を与えるというメッセージがあるように感じさせられた展覧会でありました。
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