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 「ブランドの価値」、「ブランドを守る」などという言葉を聞きますが、さて「ブランド」とは一体何なのでしょうか。

 私なりに紐解くと、扱うモノやサービスに対する印象・イメージを総称していますが、突き詰めると「社会からの信用」となると考えます。
 生活者は、モノや情報が飽和している現代にあって、よりその企業(メーカーや販売会社)のブランドや、その企業がなにを考えているのかを気にして製品やサービスを選ぶようになります。ですから商品やサービスの質を高めることはもちろんのこと、企業として社会に信用されたり信頼されたりするためには継続的、発展的に社会にアウトプットしていく必要があります。

 企業は、自社製品・サービスについてオウンドメディア(自社のホームページ等)に掲載されていますが、これらのストック情報は外部のEコマースサイトや比較サイト、ニュースサイトなどに転載され、他社と比較される対象になります。そうなると、せっかく自社の想いや経験などのストーリーを織り込んだ製品・サービスでも、価格とスペックの一覧表の中で比較される事になり、これらの優位性が無ければ選んでもらえなくなってしまいます。

 一方で、昨今「コト消費」や「エシカル消費」などと言われるように、消費者の中には価格やスペックだけでなく、製品・サービスに込められた想いや社会貢献性などを重視する層も増えてきています。SDGsやESG投資などが注目される状況を鑑みても、企業は「事業のWHY」つまり「なぜその製品・サービスを社会に送り出そうと思ったのか」という企業姿勢を積極的に発信する必要があると考えます。

 このような発信を強化する上で、会社のウェブサイトやソーシャル・メデイア、社内報や広報誌は重要な役割を担います。これらを通じて、なぜ自社がその製品・サービスにこだわるのか、何にこだわった上でこの製品・サービスを生み出しているのかなどの「想い」を社内外に語り続けるべきなのです。
 社外に語ることは、付加価値の訴求という点で不可欠ですが、社内にも語る理由は熱量です。開発担当者の想いが社内に浸透すれば、理念やバリューを共有した同僚は社外の人が語る以上に熱量を持って語ることができます。価格やスペックは転載が簡単な定量情報ですが、定性的な想いを転載や拡散することは容易ではありません。そのため、開発担当者の共感者を社内に増やすことで、より多くの社員が自社の想いが込められた製品・サービスについて代弁することができるようになります。

 こうして語られた企業姿勢は、社会信用につながり、それが継続されれば「ブランド」として認知が向上することにつながります。

 世界シェアを席巻する海外企業に比べ、日本企業のオウンド・メディアやソーシャル・メディアにはこのような想いの可視化が十分になされていません。日本人独自の「文脈を読む」文化がそれを助長しているのかもしれませんが、「言わなくてもわかるだろう」という姿勢が強いとも受け取ることができます。しかし、そんな「文脈を読める」時代は様々なメディアやデジタル世代の台頭で「言われないとわからない」に変化しているようにも感じます。

 もう一度自社の製品やサービスを見直し、自分たちの「想い」を可視化した上で、訴求ポイントをまとめ直してははいかがでしょうか。

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