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2018/4/23 ブログ インターナル・コミュニケーション, キャリアアップ, コミュニケーション教育, 組織コミュニケーション
大学のゼミで学生たちが本を作る
弊社シニア・アソシエイトのブレッドスミスは、企業コミュニケーションの根幹は社会学にこそヒントがあると考え様々な文献を読み進めていたところ、國學院大學経済学部の野村一夫教授と出会いました。
國學院大學と弊社は近所ということもあり、現在ブレッドスミスは野村ゼミのアドバイザーを務めさせていただいております。
野村ゼミの最大の特色は、ゼミ生の手で『新書』を制作し、成果物として出版していることです。
学生がどのような内容の本を書くのか、どんなユニークな本なのだろうと、様々な疑問が湧いてくるかと思います。
新書の制作・出版を『学びの可視化』として捉える野村ゼミ。
その新書づくりとは如何に行われているのでしょうか。
野村教授とゼミ生にお話を伺いました。
ブレッドスミス:大学のゼミで本を出版するのは珍しい取り組みではないでしょうか。
実際にどのようなテーマの新書を作られているのですか。
長山さん: おっしゃるとおり、珍しい取り組みだと思います。
大型書店で学会論文が製本され陳列されているのを見かけることはありますが、同じように学部のゼミで本を制作して出版しているのは知る限り聞いたことがありません。
中村さん: 私達が作る新書は『論文の卵の産み方』という名前のシリーズです。
社会に出る時に必要になると思われる実用書やビジネス書の中から、著者の名言といえるフレーズを「テーゼ(命題)」として拾い集め、その一つ一つをゼミ生が解説し、読み取れたことをコメントし、本として紡いでいきます。
テーマはアイデア論や自我論、人生デザイン論など多彩なジャンルの中から拾い集めます。
時間は約半年間。この中で新書の出版までこぎつけるのですが、これとは別に年明けの冬休みの2週間を利用して、ゼミ活動そのものを振り返る記録本=通称:『野村ゼミの手帖』という本を制作しました。
野村ゼミの手帖は、私達が野村ゼミに入るために課されたエントリーシートを書いた思い出や、新書制作の振り返りなどを個々のゼミ生が寄稿する形で一冊にまとめています。
大坪さん: 私達の制作には特徴があります。
原稿の執筆、編集に全て『クラウドサービス』を使用して共有しているということです。
週1回90分のゼミの時間だけでの作業だけは到底9冊もの本を制作することはできなかったでしょう。しかもたった半年間ですよ。
文字通り、「いつでも、どこでも」制作作業をしていました。
学びの可視化の中にあるプロセスの可視化
ブレッドスミス:野村先生にお伺いします。
「新書を出版すること」と、そもそもの「学び」との間にどのような関係があるのでしょうか?
野村教授:大学生は、学生生活の中でレポートや論文を書く機会って少なからずありますよね。だけど、これらのレポートを書いたからと言って学生には何が残るのかなと私自身疑問に思っていました。
その多くのレポートや論文はいわば書きっぱなしで終わってしまい、誰かに共有されたり、参考にされたりすることがほとんどない。そんな学生が卒業して社会に出ていく姿をずっと送り出してきました。
自分達が大学生活でやってきたことをなんらかの形にし、友人や後輩たちに業績として共有することが、あるべき学びの姿なのではないかと考えまして、成果物として新書を制作することを私のゼミの活動としました。
一方でただ単に完成したものを共有するだけでは見せびらかしに過ぎませんから、ゼミ生相互に情報共有してもらうツールを私が用意し、活用してもらっていました。
確かに自身の学生生活を振り返ってみると、野村教授の問題提起に共感を抱く方も少なくないはずです。また、企業においても社員間の成果共有と通ずるところであり、より考えさせられます。
昨今、いわゆる「属人的な仕事」を課題のひとつに挙げる企業が増えています。
対義となる「ナレッジの共有化」はクラウド、社内SNSなど、ITツールを通して組織の中に浸透していきます。これらのツールの充実が助けとなって、今日の働き方改革や、チームや組織のあり方に変革をもたらしつつあります。
一方で、こうした変革期には課題も多く発生します。
クラウドを使って行った新書制作を通じ、野村ゼミの皆さんが体験されたプロセスや直面した課題は、目の前の企業活動に照らし合わせて客観視することができるかと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。
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