お知らせ

以前、静岡大学の竹林洋一特任教授によるAIとITで変化している認知症ケアに関する講演を聴く機会がありました。
竹林先生は2時間分の内容を1時間で話されるような話術の持ち主で、聞く側としては集中と理解が大変でしたが、コミュニケーションを生業とする私にとって示唆に富んだお話でした。

特に、
「AIが普及した社会で尊重されるのは他者の気持ちが理解できる人。特定の用途のロボットは作れるが臨機応変な対応ができない」
という言葉が印象に残っています。

他者の気持ちが理解できる要素は、自分の体験から想像し、相手の立場に立つことができること。
すなわち人間にしか持ち得ない能力です。

一方で、竹林先生は以下のようにもお話になりました。
「チンパンジーと人間との違いは前頭葉。チンパンジーは目の前の判断はできるが、人間は考えることについて考えるため、時たま不条理な選択ができる」
その場の一瞬の判断が重要な局面は多くあります。
しかしその判断をする際に後先まで考えられるのが人間が持つ能力のようです。

そして行動を起こすのは、ますますAIや機械となるかもしれませんが、受け手は他でもない人間であるということです。
受け手がどう感じるかがすべての結果となりえるコミュニケーションの仕事は、とかくなかなか正解に辿り着けません。
その先の受け手の気持ちを理解する努力を続けながら、クライアントと共に考えることを諦めずに追求していこうと考えています。

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