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企業コミュニケーションの未来を探る:生成AI界隈のあれこれ
2024/3/7 ブログ SNS運用, インターナル・コミュニケーション, コミュニケーション人財, コミュニケーション戦略, コミュニケーション教育
AIの進化とその影響が広がる中、芥川賞受賞作『東京都同情塔』が注目を集めています。AIが生成したコンテンツは企業のコミュニケーション活動にどのような影響をもたらすのでしょうか。本稿では生成AIによる文学への影響から企業の情報発信への応用まで、多岐にわたるトピックについて語っていきます。
芥川賞作品に登場した生成AI
先月、芥川賞に輝いた作家の九段理江さんが手がけた『東京都同情塔』は、「生成AI」が普及した世界の中で物語が繰り広げられており、主人公が生成AIと対話するシーンが数多く登場します。九段さんは受賞後の記者会見で「全体の5%ぐらい生成AIの文章をそのまま使っている」と明かし、話題となりました。
AIの影響は文学にとどまらず、企業活動のさまざまな場面でも大きな可能性をもたらしています。例えばコンテンツ制作の場面においてAIを活用すれば、迅速で効率的な情報発信を可能にすることが期待されます。一方で、AIが生成するコンテンツは企業の価値観や意図から逸脱するような結果になる可能性もあるため、責任者による評価や修正など、慎重に管理することが肝となります。生成AIの活用はメリットとともに潜在的なリスクがあることにも留意が必要です。
AIを実務で使う場合の留意点
では、実際にAIを実務で使うとどうなるのでしょうか。
昨年12月、弊社が過去に執筆した記事を「3つのポイントに絞って要約してほしい」とChatGPTに依頼したことがありました。その結果、3つのうち1つが、弊社が意図した内容とは逆の意味を示していました。 これは、AIが事実を「理解」して文章を提示しているのではなく、文脈や主旨を「想定」して、人間らしい自然な文章を生成しようとする特性があることを象徴しています。 この点を認識せずにAIが生成したコンテンツをうのみにしてしまえば、意図とは逆の主張や誤った情報を発信してしまう可能性があります。AIを効果的に活用するためには、その特性を理解し、情報の発信者が慎重に確認と修正を行い、意図を正確に反映させることが重要です。
また、多くのユーザーがChatGPTをGoogleなどの検索エンジンと同様に情報収集として活用されるケースも散見されますが、AIは情報生成ツールであり、純粋な情報検索ツールではないという点も抑えておく必要があります。つまり、ChatGPTを事実確認や情報収集の手段として使うことは、不適切な活用であると言えます。AIは文脈や意図を理解する能力が限定的であり、特に専門的な知識や正確な情報が必要な場合は、専門家や信頼性の高い情報源を参照することが肝要です。
AIは人々を魅了する画期的な技術ではありますが、それをどう利用するか、何を生成し(作り出し)たいかなどの「脳(ブレイン)」に当たる部分を担うのは人間です。また、発信する情報に責任を持つのも人間です。
生成AIの負の側面への対策
現代において、AIによる生成コンテンツが普及する一方で、その規制は未だに追いついていない状況です。AIはまるで人間が撮影したかのようなリアルな画像や映像を作り出すことができ、本物とAI生成画像の区別が難しくなっているなど、企業の情報発信のみならず、政治やソーシャルメディア上の個人の発信などに関しても偽情報の拡散や悪意ある使用が懸念されています。
このような不安が広がる中、米IT大手のGoogleやMeta、OpenAIなどは24年2月、業界団体が推進する識別技術などを使いAIが生成した可能性のある画像に対してラベルを表示するなど、判別できるようにすることを発表しました。AIが生成した本物らしく見える画像や動画に対する認識を向上させ、SNS上に氾濫する悪質な偽画像や偽動画を排除するための動きが少しずつはじまっています。
コミュニケーターとしての心得
現代のAIは発展途上であり、日々進化しています。この進化に伴い生じる生成AIによる負の側面に対しては、業界の自主規制のみならず、未成年や消費者の保護などの観点から法整備が議論されることを期待します。一方で、今後AIの活用がますます広がることも予想されますので、今の時点でその特性を理解し新しい技術との付き合い方を心得ておくことが大切だと考えています。
1990年代にはじまったWEBサイトの活用や2010年代に進んだソーシャルメディア運用などに並び、生成AIも企業のコミュニケーション活動に新たな可能性をもたらすことでしょう。
そのような未来への第一歩として、「まず新しい技術に親しんでみること」。これはデジタル時代のコミュニケーターにとって大切なマインドの一つであるといえます。
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